頭の中はブログタイトルのように自由奔放なのですが、私の日常生活は恐ろしいほどコントロールされています。
誰がコントロールしているかというと、もちろん私自身です。
とにかく仕事中毒の傾向がありまして、私の中の大きな課題となっております。
そんなこんなで、あまりお出かけもしない私ですが、先週の土曜日、お天気が最高だったので、1時に仕事が終わった後で、ハイキングに行くことにしました。
ゲットしたばかりのバックパックを持って、鼻息荒く、さあ、今日はフリースピリットな時間を過ごすぞ。
山道か、雪道か
向かった先は、ダウンタウンから車で40〜50分のところにある山、マウントシーモアです。

スキーやスノーボード、スノーシューなど、ウィンタースポーツができることで人気の山ですが、私はどれもやらないので、ここに来るのはなんと初めてです。
カナダで暮らして四半世紀、出不精にもほどがありますね。自分がコワイ。
この日の気温は19度。
街ではTシャツ一枚で闊歩する人たちをたくさん見かける状態なのに・・・
たった小一時間のドライブでたどり着いた山頂付近の駐車場からは、眼前にまばゆいばかりの雪景色が広がります。

5月を半ばも過ぎて、まだこんなに雪が残っているとは驚きです。
一瞬、この雪、作り物かな?と思いましたが、こんな大掛かりな「ドッキリカメラ」を誰かが仕掛けるなんてありえません。
それにしても不思議です。
山の中腹(山頂から車で数分のところ)にもいくつかハイキングコースがありましたが、そこに雪はかけらもなく、初夏気分でした。
車から降りると、まずは駐車場の地図を見て、ふんふんと頷きます。
選べるわけですね、本日のコース。雪道で行くか、山道で行くか。
駐車場から上に向かえば雪道で、下に向かえば山道です。
普通のトレイルをハイキングしようとやってきたので迷いましたが、結局は雪道を選ぶことにしました。
下がるより、上がりたかったから。
防水のハイキングブーツを履いてきてよかった。
人生は選択の連続ですね。
クリスプな体験

だだっ広い駐車場には雪など全然ないのに、一歩駐車場を出て登山口に足を踏み入れると、こんなに雪深いって、奇妙な感じです。
除雪車が駐車場から雪を完全に取り除いてくれたんでしょうか。
服装は薄手のダウンで大丈夫でした。
日差しが強くて、紫外線で顔が火照って、むしろ暑いのですが、ダウンを脱ぐとやっぱり寒い。
でも雪の中を歩き始めると、あらゆる違和感は少しずつ後退していきます。
傾斜があって、雪の深さや硬さが不均等なので、歩くことに集中しなくてはならないからです。
心身が状況に馴染み始めたとき、ある言葉が思い浮かびました。
クリスプ(crisp)。
私が普段の会話で使うことはあまりありませんが、私は「クリスプ」という言葉がとても好きです。
音の響きも好きですが、この単語が表す状態がとても好きです。
どういう状態かというと・・・
晩秋から冬にかけての寒い日。
真っ青な空には太陽が出ています。晴天です。
澄み切った冷たい空気は爽やかで清々しくて、吐く息は白くて、ピリッと身が引き締まるような感じがします。
この状態を一言で言い表したのが「クリスプ」です。
まさにこの日のマウントシーモアの透明な冷たさは、クリスプでした。
空間に溶け込む

そしてなぜか人影がまばらです。
でもそのためか、ものすごーーーーーーーく、静かです。
遠くでキツツキが木をつつく音が聞こえてきますが、音といえば、それだけ。
この絶景と真っ青な空と澄んだ空気は、この瞬間、全て私のものです。
雪道の中で、何度も立ち止まって、目を閉じて、その場所のその空間に溶け込みました。
目を開けるたびに、素晴らしい景色と素晴らしい自然と素晴らしい人生があることに対して、とてもありがたく思いました。
ハイキングというよりも、その辺を2時間くらいウロウロした感じの散策でしたが、とてもリフレッシュできました。
今朝起きたとき、お天気が申し分なかったので、夏の到来だなあ、と季節の移り変わりを感じたわけですが、まさか今日、雪の中を歩くとは思ってもみませんでした。
予期せぬことがいい感じで重なって、1日が終わるって最高ですね。
思った以上のフリースピリットな時間を過ごすことができました。

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