確定申告

お金

カナダの確定申告「インカム・タックス・リターン」の時期がやってきました。

カナダで就労し収入のある人は、全員が自分で行わなくてはならないインカム・タックス・リターン。締め切りは4月末です。

私は基本フリーランスなので、この時期、昨年の総収入から一度に所得税を払う必要があります。ひえ〜、です。

どこかの会社に属し、収入源がそこだけなら、自分で(多分)簡単にできるはずですが、私のはちょっと複雑なので、いつも大手の代行会社にやってもらっています。

私はこの会社のジェインさんに、もう20年くらい毎年お願いしています。

ところが、昨年書類一式持って彼女に会いに言った時、とてもショックな話を聞かされました。

「来年、私はここにはいないと思うのよ」。

そうジェインさんは切り出しました。

ひどい話

ジェインさんは憤慨していました。

それというのも、全国展開する大手確定申告代行会社の、この支店の新しいマネージャーというのが度を越した暴君だったからです。

この会社はカナダ最大手で、あらゆるところに支店があります。バンクーバーだけでもざっと16店舗あるようです。

そしてこの暴君は、ジェインさんをはじめとするベテラン職員を全員クビにすることを画策中でした。

理由は、「ベテランは時給がいいから」とジェインさんは言いました。

注)私の解釈では、クライアント1件さばくごとにいくらもらえる、という給与形式のはずでしたが、私の勘違いだったのかもしれません。

ジェインさんは、そのいいとされる自分の時給をこっそり教えてくれましたが、それはあっと驚くほど低い、「最低賃金プラスほんのちょっと」みたいな金額でした。

こんな税金のあれこれに精通した手に職のある人の給与がこんなに低いなんて・・・

訳がわかりません。

しかも私はこの代行会社に毎年400ドル近い代金を払っているんですよ。

高すぎる!!客から金、取り過ぎのくせに、スタッフの給料に対してはセコイようです。

暴君は、ベテラン職員の時給を最低賃金に下げるという決定を下し、残業代は払わないと言い放ち、ベテラン組に「じゃあ辞めたるわ!」と言わせようと奮闘していたようです。

相当ブラックですが、ここ、カナダなんですけど。残業代を払わないとかやってると、あっという間に訴えられるはずなんだけど・・・

でもまあ、これだけならよくある(?)ひどい話ですが、彼女の話はさらに続きました。

この暴君というのは、実はジェインさんのかつてのクライアントだったというではありませんか!

つまりこれまで暴君の確定申告の代行をジェインさんがやってあげていたのです。 

暴君になる前の暴君は、ジェインさんのやっている仕事に興味を持ち、どうやったらこの会社で働けるのかと質問しました。

ジェインさんは暴君に対し、どこの学校のどんなコースを取れば資格が取得できるのかを懇切丁寧に教えてあげました。

暴君はジェインさんに教えられた通りのコースを修了し、資格をとり、この会社の面接を受け、なんとマネージャーのポジションをゲットしたのです。

しかも数ある支店の中から、よりにもよってジェインさんと同じ支店で働くことになりました。しかも彼女の上司として。

そして今、資格取得の後押しをしてくれたジェインさんを自分から「辞めます」と言わせようとしている訳です。

ありえんがな。

彼女は、他のベテラン職員たちと一緒に辞めることになるだろう、というか今すぐにでも辞めたい、と言いました。

私は「来年は個人的に私の確定申告やってもらえませんか」とお願いしました。

ジェインさんは言いました。

辞めた後は1年間、この会社のクライアントの確定申告はできないことになっているのだと。

えー、でも誰に頼もうが私の勝手じゃん。

私、ぶっちゃけ、この会社のことなんて別にどうでもよくて、ジェインさんという信頼できる人に確定申告やってもらいたい、それだけなんですが。

私の申請はT4を1枚渡せば済むような形態じゃなく、割と細かく複雑なんで、新しい人に1から説明するの、めんどくさいし、間違った記入とかってなると後々訂正するのとかもめんどくさいし、とにかく面倒が嫌だし、ジェインさんがいい!!

私は来年、絶対に連絡してくれと彼女に念を押しました。

その日は、土曜だったと記憶しています。暴君がオフィスにいなくて顔を見ることができなかったから。

でも、その数週間後にジェインさんが会社を去った後、息子の確定申告でオフィスを訪れた時、その暴君を目にすることになりました。

私の体重の軽く4倍はありそうなものすごい巨漢でした。そして職員を非常に偉そうな物言いで怒鳴りつけ、息子も英語で「何なんだ、あのfxx axx は」とその暴君ぶりに呆れていました。

いえ、そんなことはどうでもいいんです。

ジェインさんが今年、私に連絡さえしてくれれば。

果たして私はジェインさんと再会できるのか

確定申告は毎年、2月の中旬辺りから行うことができます。

だから、2月に入ると、一体ジェインさんは連絡してきてくれるのだろうかと、ことあるごとに考え、もし連絡してくれなかったらどうしたもんかと思い始めていました。

果たして私は今年、ジェインさんと再会できるのか。

電話はかかってくるのか。

結論から言いますと、電話は2日前にかかってきました!

ジェインさんは、新しい会社を友人と立ち上げたそうです。

だから私がその会社にお願いしたいと言えば、暴君の会社はなすすべもなく諦めるしかない、ということになりますし、ジェインさんがクライアントを盗んだということにもなりません。

彼女からの電話があった時、私は仕事中だったので、音をオフにしていました。あとで電話の履歴に気づいた訳ですが、番号しかなかったし、メッセージも残されていなかったので、一体誰だろう、ともう少しで無視するところでした。

ですが、もしやと思い、恐る恐る、その番号に電話をしてみました。市外局番はこのあたりのものだし、時間は夜の9時を過ぎていたし、怪しい勧誘系の電話とは考えにくく、個人の番号のように思えたから。

相手は電話に出るなり、「ハ〜イ、マリコ〜!元気〜!?」と超明るいノリです。

その声から、「ジェインなの?」と私のテンションも上がりました。

ああ、良かった。彼女は元気そうだし、多くのクライアントは彼女から離れなかったみたいだし、私の確定申告は今年も安泰となったし。

さて、私は今年いくらの税金を払うことになるのでしょうか。

それは再来週、彼女に会って、計算してもらった時のお楽しみですね。

それにしても払えるのかなー、私。あはは!

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