2020年の秋、2度目の離婚申請が却下されました。
シンプルであるべきはずのことが、すんなりいかない。
これは元夫との生活のあるあるでしたが、「最後の最後まで、この人との共同作業はこうなっちゃうんだよなあ」と、疲れ果ててしまった私は逆にしみじみしました。
Ms. Lにはいろいろ助言してもらってありがたかったけど、結局依頼せずです。
ていうか、元夫が絶対に収入を明かさないので、弁護士への依頼は無理です。
こんなんじゃ離婚できない。
私は落ち込みを通り越して、全てがどうでもよくなってしまいました。
どんなに心を砕いて頑張っても、無理じゃん。
そんな感じで放置し続けているうちに、次男は2021年3月、19歳の誕生日を迎え、未成年ではなくなりました。
再びMs. Lのところへ

次男の誕生日が近づくにつれ、もうこの方法しかないな、とは思い始めていました。
それは、Ms. Lが説明してくれたように、次男が未成年ではなくなった時点で「息子は19歳を迎え、フルタイムで仕事をし、自立しているので親の援助は必要ありません」と裁判所に申し出ることです。
3月が誕生日なら6月に申し出ると良いというMs. Lの助言をぼんやりと思い出し(なぜ3カ月待つのかは忘れた)、私の仕事が一段落した8月にMs. Lにこの申し出のための書類作成を依頼しました。
ちょうどコロナで次男の大学は入学時期がずれ込み、この時期、彼は本当にフルタイムでバイトをしていたので、この申請内容は嘘ではありませんでした。
アポの時間に彼女のオフィスに行くと、前回会った時に渡した私たちの離婚申請書のコピーを元に作成された新規書類がすでに出来上がっていました。
後は私がざっと目を通して、サインすればいいという状態でした。
いくら請求されるのかハラハラドキドキでしたが、思ったより全然安い150ドル。
ただ、現金で払って欲しいと言われました。
なるほどね。現金で払う代わりに少し安いっていうわけですね。
全然構いません。むしろありがたいです。
ところが、サインする段階になって、私1人の名前になっていることに気がつきました。
私が1人で来たので、私だけの分だと思ったそうです。
元夫には彼の弁護士がいると思ったと。
とにかく彼の分もお願いすると、すぐに作ってくれました。
私のは弁護士の前でサインしたからいいけど、彼のサイン箇所は空欄です。
裁判所でもできるけど、その場合は裁判所に行かなくちゃならないし、40ドルとか45ドルとかかかるけど、「私のところでサインするなら20ドルでいいよ」とMs. Lが言ってくれたので、そうすることにしました。
その後、元夫とMs. Lの間に入って、何とかアポを取り付け、お互いに全書類にサインして、やっと完了。
さあ、明日は最高裁に書類を持って行きます。
もちろん1人で行きます。
まさかの書類がもう一枚

これがここに来る最後かもしれないという感慨に耽りながら、裁判所の窓口に到達すると、係の若いお兄さんが、この「もう未成年ではないので、うんぬんかんぬん」の用紙に加えて、最終的な判決に裁判官がサインする用紙が入りますよ、と無情な一言。
えーーーーー!まだいるものがあったの!?
チンプンカンプンな私にお兄さんは、「ほら、こういうの」と見本を見せてくれ、オンラインでコピーできるよ、と親切に教えてくれましたが、この徒労感たるや。
しかも「未成年じゃなくなったからと言って収入証明を見せなくていいということにはならないかもしれないよ。裁判官次第だけどね。それは一応言っとくね」とトドメの一撃。
教えてくれて、ありがとう。
あと一枚書類が必要だったという事実は、たとえそれがこれまでの書類に比べたら、準備が簡単そうであったとしても、これまでの流れの中で、私を一番落ち込ませるものでした。
判決文の作成

裁判所の窓口の人には自分で用意できるふうのことを言われましたが、どこからコピーを引っ張ってくればいいのかさっぱりわからず、やる気も湧かず、そもそも何で裁判長の判決文をこちらで用意するのかその意味もわからず、再びMs. Lに丸投げすることにしました。
しかし夏休みのせいか、なかなか返事が来ません。
私たちからの依頼は結局お金にならないので、無視されているのかな(多分そう)とか、ネガティブな気持ちになりながら、9月に入ってもう一度依頼のメールを送りました。
そして9月13日、返事が来ました。
しかもメールには、私たち用にカスタマイズされた判決文用紙が添付してあります。
その用紙を見るにつけ、こんなのど素人の私が自分で用意するなんて120%無理だということが思い知らされます。
Ms. Lはまたしても、この作業を無料でやってくれました。
なんてありがたい!弁護士ってよく知らないけど、こういうものなの?
私は翌日、この用紙を最高裁に叩きつけました、というのはウソで、静かに提出致しました。
裁判所からの手紙

それから約3週間後の10月4日、私は郵便受けに最高裁からの封筒を発見しました。
私が2年前に自分で宛名を書いた、あの封筒です。
そして封筒の中には、離婚が認められたという判決文が入っていました!
ああ、神よ。
2年かかりましたが、やっと離婚できることになりました。
この判決から31日後、つまり10月28日に離婚が成立します。
私はすぐにMs. Lにお礼のメールを送りました。
肩の荷がおりましたが、まだ後ひとつ、やることがあります。
日本国総領事館への離婚届の提出。元夫を私の戸籍から取り除く作業です。
いざ、領事館へ

さて、領事館用にも準備する書類やコピーが山のようにあります。
それと並行して日本の父に、私の戸籍謄本を区役所から取って来てもらいました。
これまた時間のかかる作業でした。まずカナダの私宛の封筒を父に郵送したりしていたので。
また、もう一度最高裁に出向き、40ドル払って離婚証明書を取得しました。
領事館に持っていく必要があったからです。通常は再婚するときにいるみたいですね。
離婚証明書は、出生証明書や結婚証明書とはまるで種類の異なる、手作り感満載の証明書でした。
普通のコピー用紙に「いつどこで結婚した2人が、いつ離婚したか」が書かれています。
まずその紙切れ(?)を見せられて、名前の綴りが間違っていないかを確認するよう言われました。
元夫の名前の綴り、思いっきし間違ってました(マジで?)。
ちゃんと確認してよかった。
その後係の人が再度普通のコピー用紙に証明書を印刷して、丸い離婚シール(?)みたいなのを用紙の左下にペタッと貼り付け、右下にサインしてくれました。
「一枚でいい?」と聞かれましたが、こんなの2枚もいらんわ。
これが(こんなのが)40ドル。
さて、次にやるべきことは、この離婚証明書と離婚申請書(Notice of Joint Family Claim)と判決謄本(Final Order)を日本語に翻訳することです。
これは自分でやりました。
結婚の時も全ての書類の翻訳は自分でやったなあ、と思い出しながら訳しました。
がっつり翻訳すると、改めて、というか、カナダの離婚システムの簡潔さが理解できたような気がしました。
私が言うのも非常にアレですが、必要なことが過不足なく含まれた、よくできた申請書だと感心しました。
今だからこそ言えますが、こんなまともな申請書に戸惑って恐怖してたなんて、ほんと私バカみたいです。
とにかくこれらの書類と翻訳を2部ずつコピーしたものを一式揃えて領事館に向かいました。
するとまたしても、まだ記入すべき書類があったことを知らされることになります。
日本の離婚届です。
相手が外国人だったので、少し書式は異なりますが、この離婚届、同じものを2部記入することになりました。
ちょっとした(でも取るに足りなくもない)問題も領事館の職員の方に指摘されたのですが、結局この日、全ては無事に終わりました。
不思議です。
戸籍から彼の名前が外された途端、心身がとても軽くなったような気がしました。
離婚の全プロセスにかかった時間は2年と1カ月。
その間、幾度となく最高裁に通いました。
お金については、私が払ったのは裁判所への申請料210ドルと裁判所でのコピー代20ドル、Ms.L に払った150ドルの合計380ドルです。
元夫は最初の記入代行会社に払った200ドル(本人談)、公証人代金80ドル、Ms.L への20ドルで合計300ドル。
2人合わせて約700ドルで離婚できました。
北米の感覚では安いのかな。
でも日本の感覚では(私の感覚では)高いです。協議離婚だし。
ああ、長かった。疲れた。でもハッピー。
お疲れ様、私。(終わり)

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