カナダで国際離婚 その4

人生劇場

離婚申請書を提出したものの、いろんな不安が心と頭をよぎります。

中でもお金のこと。

申請書を出したのは、本当の別居を始めて2カ月が過ぎた頃で「私ちゃんとやっていけるのかな」とおっかなびっくり毎日の生活を送っていました。

というよりも、です。

収入面とか収支を合わせるとか、そういう部分ではそこまで心配していませんでした。

私が恐れおののいていたのは、元夫が背負っていた借金です。

離婚申請書には資産と負債の欄に「なし」と記載してあり、細かい取り決めについては一切添付されていません。

いろいろ調べると、「結婚していた期間中にできた財産や負債は2人のものとみなされる」と書いてあったりします。

彼の借金は、結婚期間中にできたものだけど、私とは関係のないところで生じた負債です。

一方、元夫も私から養育費の件で訴えられる可能性を恐れていたようです。

「共同申請だから、信頼関係が重要だ」と元夫は私を丸め込もうと(?)していましたが、相手の思惑や出方を探るような感じで、お互い戦々恐々としていました。

私としては、わけのわからない借金の肩代わり(半分でも)とか、ホント勘弁です。

そんな中、元夫は個人的な同意書を作成しようと提案してきました。

私は二つ返事で「イエス」と答えました。

私的な(?)同意書

元夫と私は自分たちの要望をすり合わせ、同意書を作りました。

私がタイプし、プリントアウトしました。

元夫が表現が気に入らないと指摘した箇所を何度か修正し、最終的にお互いが納得する同意書が出来上がりました。

すべてお金に関する内容です。

主な柱は二つ。

  • 彼名義の借金は、彼1人が責任を持つこと
  • 私は養育費を請求しないこと

彼の借金の額は、はっきりとはわからなかったのですが、万が一これを半分とか押し付けられると、養育費をもらったとしても、私の払い分がもらい分を大きく上回ることは確かでした。

この同意書、公証人の前でサインしたわけではありません。

でも立会人として、成人年齢に達していた大学生の長男にサインをしてもらいました。

ていうか、この同意書、法的効力はあるのでしょうか。

弁護士に会う

私がいちばん恐れていたことの回避をなんとか書面化できたので、少しホッとしましたが、心のざわざわが完全に収まったわけではありません。

考えれば考えるほど、なおも不安が募ります。

別居期間の負債でさえ、折半だとかいうネット情報も発見したし。

ああ、どうしてもはっきりさせたい。

私に支払い義務が生じることがあるのかを。

やっぱり、ちゃんと分かってる人、つまり弁護士と話したい。

私は州裁判所でもらった弁護士紹介所の番号を引っ張り出し、紹介をお願いすることにしました。

例の30分間無料の弁護士の紹介です。

係の人は、私が住んでいる市で相談に乗ってくれる弁護士の名前と電話番号を教えてくれました。

すぐに連絡すると、その日に会ってくれるということでした。

30分過ぎた後の料金は、なんと言われたかはっきり思い出せないのですが、相場よりかなり安い金額だったと記憶しています。

とにかくその日のうちに弁護士に会うことが叶いました!

とても若くて(まだ20代だと思う)、感じの良い中国系の弁護士です。

私はざっと状況を説明して(時間は無駄に使えません!)、借金問題について聞きました。

弁護士は私の説明をすべてメモっています。

で、弁護士によると、返済義務は借りた名義の人のみに生じるということでした。

だから、共同名義だと相手が逃げてしまえば私が全責任をかぶることになりますが、そうでなければ借金の取り立てが私のところに来ることはないと、断言してくれました。

涙が出るほど嬉しい回答です。

ただ、元夫がこれは2人で作った借金だと言い始める可能性もあるらしい。

でもその場合は、その借金一つ一つを本当に2人で作ったものかどうか、いちいち証明しなくてはならず、おそらくそれは彼1人の力ではできないから弁護士に頼むということになるようです。

元夫がお金を払って弁護士を雇うなんてありえないから、その線はありません。

そして私は2人で作った同意書についても話しました。

私に彼の借金を払う必要がないと書かれたものに2人でサインしたこと。公証人の前ではないけど。

すると弁護士は、公証人の前でサインしてなくても、効力があるから「その同意者は、絶対に捨てちゃダメだよ」とアドバイスしてくれました。

ええ、ええ、絶対に捨てませんとも!

私はとてもホッとしました。

さて、聞きたいことはすべて聞きましたが、気付けば、なんだかんだと30分はとっくに過ぎているようです。

「超過分の料金を払います。カードでもいいですか?」と私が聞くと、「払わなくていいですよ。気にしないで」という返事。

ホントに?

この一連の流れで、弁護士といえば、これまで「2人で来たら絶対に会わない」とか厳しい印象しかなかったので、このやんわりした感じ、とても驚きました。

嬉しい回答が得られたことと、料金さえ発生しなかったことに、なんだか気持ちがふっと緩んで、涙が出そうになりました。

厳しい環境下で誰かに突然優しくされたみたいに。

私は本当にありがたい気持ちで、弁護士事務所をあとにしました。

離婚申請却下

最高裁判所に離婚申請書を提出して3カ月が経ったころ、元夫から申請が却下されたという手紙を受け取ったと連絡が入りました。

却下された理由は、「養育費の欄が不十分、というか養育費$0とかあり得ない」という当然のものでした。

さて、彼はどうするつもりでしょうか。

「離婚経験のある周りの人に聞いてみる」って言ってましたが。(続く

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