クルマと私

日々のこと

今、トヨタのショールームでこのブログを書いています。

ここにいる理由は、すっかり記憶の端っこに追いやられていた車のリコールに対処するためです。

コンピュータ部分を付け替えてもらうわけですが、実は何のことだかさっぱりわかっていません。

しかもこのリコールは何年も前に出されたもので、今更このリコールのためにサービス工場にのこのこやってくる人って私くらいだと思います。

2時間くらいかかると言われていたので、私はオーディブルで本を聞いたり、紙の本を読んだり、英検1級用の勉強をしたり、ブログを書いたりして隙間時間を有効に使おうと準備万端でやってきました。

自分のテーブルを確保して、無料のコーヒーを手に、ショールームをぐるりと見渡しました。

広々としたフロアには、ピカピカの新車が5台ほど展示されています。

待合席もたっぷりした広さで何だかたくさんの人で賑わっていますが、みんなサービス工場に用がある人のようで、車を買いに来てる人たちではなさそうです。

そんな光景をぼんやり眺めていると、不意に懐かしさがこみ上げて来ました。

私は大学を卒業してすぐに、輸入車を販売する「ヤナセ」という会社に就職しました。

昔は結構クルマ好きだったのです。

初めて所有したのはドイツのオペルという車でした。社員割引を使ってヤナセで買ったわけです。

本当はフォルクスワーゲンのゴルフが欲しかったのですが、私の入った年かその翌年にヤナセはフォルクスワーゲンとの取引を停止していて、その代わりにオペルという私にとっては?だった車を扱い始めていました。でも、まあ、新車で買ったので、普通に良かったですが。

次に所有したのはアメリカにいる頃、インドネシア人の友達と10万円ずつ出し合って、別の友達から買ったシボレーの軽自動車みたいに小さな車。名前は忘れました。

カナダに来てからは、現代自動車のこれまた小さなエクセルという中古自動車に乗っていました。

そしてその後に所有したのがフォルクスワーゲンのニュービートル。厳密に言うと中古ですが、私の前のオーナーは新車で買って1カ月くらいで手放していたのでほとんど新品でした。

「前のオーナーは中国からの移民でね、旦那さんが先にカナダに来て、奥さんがくる前にサプライズ・プレゼントとしてこの車を買ったんだけど、奥さんは全然気に入らなかったんですよ」とセールスマンは説明してくれました。

えー、こんな可愛い車をプレゼントされて気に入らないなんて・・・

って思っていましたが、購入後に運転して帰る道すがら、左折(日本でいう右折)した瞬間にはっきりとその理由がわかりました。

視界が悪すぎる。コレです。

そういえば試乗の時は右折(日本でいう左折)だけだった!

ビートルって、そのデザインゆえにフロントガラスと横の窓と後ろの窓を仕切る四つの柱が想像を絶するほど太いんです。

おかげで左折する時には一番見たい部分が太い柱で塞がれ、ドライバーは顔を左右にずらして前方を見る必要があります。なんか危ない。とっさに判断する時とか。

またバックする時も、他の車に比べると死角が多すぎます。

それでも7年くらい乗りましたが、エンジンの調子が悪くなったのに加えて、小さい子供二人をツードアの車に乗せてあちこち行くことに不便を感じるようになり、今乗っているトヨタ車を新車で買いました。

ヤナセによって洗脳されていたせいか?「車とはドイツ車である」くらいに思っていましたが、最優先事項である家庭生活が車で煩わされるのは絶対嫌だと思い、安心して乗れる車、つまり日本車、つまりトヨタ車に決めました。

2008年式の車なので、もう15年くらい乗ってますが、非常に優秀だと思います。

それにしても私はいつまで車の運転をするんだろう。

だんだん視力が悪くなり、最近は夜の運転が苦手です。後10年くらいかな。

でもあと1台くらいはこの人生で違う車に乗りたいなあ。

メーカーは日本車の中でいちばん好きな日産にしよう。デザインが好み。

やっぱり座席が高いSUVが運転しやすいかな。それとも小さい頃に大好きだったスカイラインにしようかな。

っていう日産車を所有する夢を、ピカピカに美しいトヨタのショールームで思い描いているうちに、私の車のコンピュータ取り替えは終わったのでした。

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